50代・60代になると、「老後資金を少しでも増やしたい」と投資を考える人も多いだろう。
しかし、若い世代と同じ感覚で投資を始めるのは注意が必要だ。大きな損失が出た場合、取り戻すまでに使える時間が限られるからである。
そこで今回は、50代・60代が投資を始める際に特に注意したい5つの投資を紹介する。
1.現金・預金だけに集中する

「投資は怖いから、全部銀行に預けておけば安心」
この考え方にも注意が必要である。
現金や預金は価格変動が小さい一方、物価が上昇すると、同じ100万円でも買えるものが少なくなる可能性がある。
つまり、現金を持つこと自体が悪いわけではない。
問題は、老後まで使わないお金まで、すべて現金だけで保有することである。
生活防衛資金など必要な現金は確保しつつ、余裕資金については投資も含めて考えることが重要だ。
2.金融機関に勧められた商品をそのまま買う

銀行や証券会社などから投資商品を勧められることもある。
しかし、「プロが勧めてくれたから安心」と考えて、そのまま購入するのは避けたい。
投資信託などには購入時手数料や信託報酬などのコストがかかる場合がある。
同じような資産に投資する商品でも、コストには大きな差がある。
そのため、「何を買うか」だけでなく「いくら手数料がかかるのか」まで確認することが重要である。
3.毎月分配型の商品

「毎月お金がもらえる」
この仕組みだけを見ると、老後の生活費を作る方法として魅力的に感じるかもしれない。
しかし、毎月分配型の投資信託では、分配金の一部または全部が運用益ではなく、投資元本から支払われる場合がある。
そのため、
「毎月お金が入ってくる=資産が増えている」
とは限らない。
分配金を受け取ることだけを見るのではなく、基準価額や分配金の原資、手数料なども確認したいところである。
4.有名企業だからという理由だけで個別株を買う

「誰もが知っている大企業なら安心」
これも投資では危険な考え方である。
どれだけ有名な企業でも、業績悪化や事故、不祥事、業界環境の変化などによって株価が大きく下落する可能性がある。
さらに個別株は、1社に集中するほどリスクも集中する。
特に老後資金のように「大きく減らしたくないお金」を運用する場合、有名企業だから安全とは限らないことを理解しておきたい。
5.知識がない状態で現物不動産投資を始める

「老後は家賃収入で生活したい」
そう考えて不動産投資を始める人もいる。
しかし、現物不動産は株式や投資信託とは違い、物件選びだけでなく、ローン、修繕、空室、管理、売却など多くのことを考える必要がある。
特に、十分な知識がないまま営業担当者の説明だけを信じて、高額なローンを組むのは慎重になるべきだ。
退職金などまとまった資金を一気に投入する場合は、なおさらである。
50代・60代の老後資金は「シンプルに管理する」
ここまで5つの注意点を紹介した。
では、老後資金はどう管理すればいいのか。
一つの考え方として、ネット証券・NISA・低コストのインデックスファンドを組み合わせる方法がある。
例えば、eMAXIS Slimシリーズには、
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
などのインデックスファンドがある。
オルカンは世界各国の株式に分散する商品。
S&P500は米国の主要企業に投資する商品である。
どちらを選ぶかは、自分がどの地域に投資したいのか、どの程度のリスクを取れるのかによって考える必要がある。
「これを買えば老後は安心」という商品があるわけではない。
大切なのは、自分が理解できるシンプルな商品を選び、必要以上に複雑な運用をしないことである。
老後は「運用」と「取り崩し」をセットで考える
老後資金では、資産を増やすことだけを考えてはいけない。
最終的には、その資産を生活費として使っていくからだ。
例えば、
年金+投資資産からの取り崩し
という形で生活費を準備する方法もある。
その場合、
- 毎月いくら必要なのか
- 年金はいくら受け取れるのか
- 預金はいくら残すのか
- 投資資産を毎月いくら取り崩すのか
を事前に考えておく。
証券会社によっては、投資信託を一定額ずつ売却するサービスを提供している。
こうした機能を使えば、毎月必要な金額を機械的に取り崩す方法も検討できる。
ただし、取り崩しながら運用する場合も、相場下落によって資産が減るリスクはある。
50代・60代は「増やす」だけでなく「守る」ことも重要

ここまで5つ紹介したが、重要なのは「投資をするな」という話ではない。
むしろ大切なのは、自分のお金をどの商品に、どれくらい、どんな目的で投資するのかを理解することである。
例えば新NISAを利用し、低コストのインデックスファンドなどを長期・分散で保有する方法もある。
全世界株式や米国株式などの商品にも、それぞれ値下がりするリスクがあるため、「これを買えば安心」というものではない。
老後資金として使う時期が近い場合は、必要な現金を確保したうえで、投資する金額やリスクを調整することも重要になる。
まとめ

50代・60代が投資を始めるなら、特に注意したいのが次の5つである。
- 現金・預金だけに集中する
- 金融機関に勧められた商品をそのまま買う
- 毎月分配型の商品
- 有名企業だからという理由だけで個別株を買う
- 知識がない状態で現物不動産投資を始める
投資で大切なのは、「何を買えば儲かるか」だけではない。
自分がいつ、何のために使うお金なのかを考え、その目的に合ったリスクを取ることである。
特に老後資金は、一度大きく失うと取り戻すまでの時間が限られる。
だからこそ50代・60代の投資では、大きく増やすことだけでなく、大きく失わないための仕組みを作ることも重要なのである。


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