「1年って365日あるよね?」
「うん」
「じゃあ、23人くらい集まったところで、同じ誕生日の人なんてそうそういないよね?」
おそらく多くの人は、そう考える。
23人に対して365日。
どう考えても、まだまだ余裕がある。
ところが数学は、こちらの直感をあっさり裏切ってくる。
23人集まると、その中に同じ誕生日の人がいる確率は約50.7%。
つまり、
「23人集めれば、だいたい2回に1回は誕生日がかぶる」
のである。
365日もあるのに。
23人しかいないのに。
なぜこんなことになるのか。
まず「自分と同じ誕生日」ではない
ここは非常に重要。
「23人の中に、自分と同じ誕生日の人がいる確率が50.7%」
という意味ではない。
もし自分が4月1日生まれだったとして、
「23人集めたら4月1日生まれがいる確率は50%超!」
という話なら、かなり嬉しい。
しかし、実際は違う。
ここで探しているのは、
「23人の中の誰でもいいから、誕生日が同じ2人がいるか」
である。
例えば、
田中さん:4月1日
佐藤さん:7月20日
鈴木さん:11月3日
山田さん:4月1日
この時点で、
はい、成立。
田中さんと山田さんが同じ誕生日なのである。
つまり、自分が4月1日である必要はない。
誰と誰でもいい。
このルールにすると、急に誕生日探しの難易度が下がる。
23人いると「2人組」が253組もできる
ここで数学が本気を出してくる。
23人の中から2人を選ぶ組み合わせは、
253通り。
計算すると、
23 × 22 ÷ 2 = 253
となる。
つまり、23人集まった瞬間、
「この2人は同じ誕生日かな?」
というチェックを253回もできる。
例えば、
AさんとBさん。
AさんとCさん。
AさんとDさん。
BさんとCさん。
BさんとDさん。
……
と、どんどん比較できる。
23人しかいないと思っていたのに、数学から見ると、
「253組もいるじゃん」
なのである。
23人という人数だけを見ると少なく感じる。
しかし、誕生日の一致を探すというゲームを始めた瞬間、比較対象が一気に増える。
1組だけなら、同じ誕生日になる確率は低い
もちろん、2人だけなら話は簡単だ。
1人目の誕生日が決まっているとして、2人目が同じ誕生日になる確率は、
1/365 ≒ 0.27%。
かなり低い。
「そんなの当たるわけないじゃん」
と思う数字である。
ところが、23人集めると話が変わる。
「AさんとBさん」
だけではなく、
「AさんとCさん」
「AさんとDさん」
「BさんとCさん」
……
と、比較する組み合わせが253通りもある。
1回だけなら低確率でも、
チャンスが253回ある。
ここがポイントだ。
「じゃあ253×0.27%=約68%?」
ここで、ちょっと計算したくなる。
「1組あたり約0.27%なら、253組あるんだから……」
と考えると、
約68%。
「おお、じゃあ68%じゃん!」
と思うかもしれない。
残念。そうはならない。
確率は単純に足せばいいわけではない。
なぜなら、同じ人が複数の組み合わせに登場するからだ。
例えば、
AさんとBさんが同じ誕生日。
AさんとCさんも同じ誕生日。
となった場合、
「一致が2回起きた!」
と数えることはできても、
「同じ誕生日の人がいる」という出来事としては1回である。
このあたりから、数学が少し嫌いになってくる。
正確に計算すると約50.7%
では、どうやって計算するのか。
実は「同じ誕生日の人がいる確率」を直接計算するより、
「23人全員の誕生日がバラバラである確率」
を計算したほうが簡単である。
1人目は、どの誕生日でもいい。
だから100%。
2人目は、1人目と違う364日。
3人目は、最初の2人と違う363日。
これを繰り返していく。
すると、
365/365 × 364/365 × 363/365 × …… × 343/365
となる。
計算すると、
約49.3%。
つまり、23人全員の誕生日が違う確率が約49.3%。
ということは、その反対。
少なくとも1組、誕生日が同じ人がいる確率は約50.7%。
となる。
数学、
「ほら、半分超えたよ」
である。
23人で「約半分」なのが一番面白い
23人で約50.7%という数字が面白いのは、
「かなり大人数を集めないと無理そう」
という感覚と全然違うからだ。
365日ある。
だから、
「100人くらい集めないと、そんなこと起きないでしょ」
と思ってしまう。
ところが、
23人。
学校のクラスくらいの人数である。
教室に23人いたら、
「まあ、誕生日がかぶることもあるか」
ではなく、
「もう半分くらいの確率で起きます」
なのである。
30人になると約70%
さらに人数を増やすと、確率はどんどん上がる。
| 人数 | 同じ誕生日の人がいる確率 |
|---|---|
| 10人 | 約11.7% |
| 20人 | 約41.1% |
| 23人 | 約50.7% |
| 30人 | 約70.6% |
| 40人 | 約89.1% |
| 50人 | 約97.0% |
| 57人 | 約99.0% |
30人なら約70.6%。
40人なら約89.1%。
50人なら約97%。
つまり、30人くらいの集団で、
「この中に同じ誕生日の人いるかな?」
と聞いてみると、
かなりの確率で誰かが「私たち同じです」
となる。
もし誰もいなかったら、
「今日はそういう日だったんだね」
くらいに思っていい。
ちなみに「366人なら必ず」は別の話
「じゃあ366人集めれば100%?」
これは100%。
ただし、こちらは確率の話というより、数学的に必ずそうなる。
365日しかないところに366人いる。
全員の誕生日を別々にしようとしても、
365人目まではなんとかなる。
しかし366人目は、
「ごめん、もう空いてる日ないです」
となる。
どこかで必ず誕生日が重なる。
これは「鳩の巣原理」と呼ばれる考え方である。
365個の誕生日という箱に、366人を入れれば、必ずどこかの箱が2人以上になる。
ただし、現実の誕生日は完全に均等ではない
ここまでの計算は、
「365日すべてに、同じ確率で生まれる」
という前提である。
もちろん現実はそんなに綺麗ではない。
実際には、日にちによって出生数に差がある。
うるう年もある。
出生数の偏りもある。
だから、現実の確率が理論上の50.7%と完全に一致するわけではない。
とはいえ、
「23人で約半分」
という感覚を理解するには、このモデルで十分である。
次に23人以上集まったら試してみよう
この話を知ったら、次に23人以上の集団に入ったときに、
「この中に誕生日が同じ人いるかな」
と探してみると面白い。
飲み会でもいい。
職場でもいい。
学校でもいい。
そして見つかったら、
「やっぱり約50%あるからね」
と知った顔で言ってみる。
たぶん、
「へえ、そうなんだ」
で終わる。
でも、それでいい。
雑学とはそういうものである。
人生に必要かと言われると、たぶん必要ない。
しかし、飲み会で一瞬だけ会話が持つ。
それだけで十分だ。
まとめ
「365日もあるのに、23人で誕生日がかぶるなんておかしくない?」
と思うかもしれない。
しかし、23人の中には253通りの2人組がある。
そのため、「誰と誰でもいいから誕生日が一致する」という条件にすると、確率は一気に上がる。
23人で、
約50.7%。
30人なら約70.6%。
50人なら約97%。
つまり、誕生日のパラドックスが教えてくれるのは、
「人間の直感は、意外と確率に弱い」
ということだ。
365日という数字だけを見ると、
「23人なんて全然少ない」
と思ってしまう。
でも数学から見ると、
「253組も比較できるんですけど?」
という話になる。
次に23人以上の集団に入ったら、周りを見渡してみてほしい。
同じ誕生日の人が見つかるかもしれない。
そして見つけたら、
「すごい偶然!」
と驚くのもいい。
ただし、数学的には、
「まあ、50%くらいありますけどね」
である。
ちょっとだけ、嫌な奴になれる。
それが誕生日のパラドックスである。


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