「これ、やっておいて」
「今度、一緒に行かない?」
「ちょっと手伝ってくれない?」
私たちは毎日のように、誰かに何かをお願いしている。
ところが、同じ内容を伝えているはずなのに、なぜかすんなりOKしてもらえる人がいる。
一方で、自分がお願いすると、
「ちょっと無理」
「今は忙しい」
「また今度ね」
と断られてしまう。
この違いは、お願いの内容だけではなく「伝え方」にあるのかもしれない。
今回は、佐々木圭一さんの著書『伝え方が9割』をもとに、相手から「Yes」を引き出すための基本的な考え方を紹介する。
伝え方が変わると、結果まで変わる

人生には、「相手に何かを伝えて、その返事をもらう場面」が意外と多い。
就職面接。
仕事の依頼。
営業。
友人へのお願い。
好きな人へのデートの誘い。
プロポーズ。
大げさに聞こえるかもしれないが、これらには共通点がある。
自分の希望を相手に伝え、相手に動いてもらう必要があることだ。
もちろん、伝え方だけですべてが決まるわけではない。
どれだけ言葉を工夫しても、相手に事情があれば断られることはある。
それでも、
「何を言うか」
だけではなく、
「どう言えば相手に届くのか」
を考えるだけで、結果が変わる場面は多い。
今は「普通に伝える」だけでは埋もれやすい

昔に比べて、私たちは圧倒的に多くの情報に囲まれている。
スマートフォンを開けば、ニュース、広告、SNS、動画、メッセージが次々と流れてくる。
その中で、
「普通に伝えました」
だけでは、相手の記憶に残らないこともある。
これはブログやSNSだけの話ではない。
職場で何かをお願いするときも、
「これお願いします」
だけで終わるのか、
「○○さんが得意そうなので、お願いしてもいいですか?」
と伝えるのかで、相手の受け取り方は変わる。
言葉は同じ「お願い」でも、相手の気持ちを考えているかどうかで印象が変わるのである。
そもそも私たちは、毎日たくさんお願いしている

「自分は営業でもないし、誰かにお願いすることなんてそんなにない」
と思うかもしれない。
しかし、よく考えてみると、日常はお願いだらけだ。
「これ取って」
「ちょっと待って」
「明日までにやっておいて」
「この店行きたい」
「もう少しだけ話したい」
「手伝ってほしい」
仕事でもプライベートでも、私たちは誰かに何かをしてもらうために言葉を使っている。
だからこそ、伝え方を少し変えるだけでも、毎日のコミュニケーションに影響する。
伝え方は「才能」ではなく「技術」

ここで重要なのが、
「話が上手い人だけが得をする」というわけではない
ということだ。
『伝え方が9割』の著者である佐々木圭一さん自身、もともとはコミュニケーションが得意なタイプではなかったという。
コピーライターとして働き始めた当初は、書いた案がなかなか採用されず、厳しい言葉をかけられた経験もあった。
そこで、世の中にある「人の心を動かす言葉」を分析していった。
すると、優れた言葉には、ある程度の法則やパターンがあることに気づく。
つまり、
「伝えるのが上手い人は、何となく上手く話しているわけではない」
ということだ。
料理だって、
「なんとなく焼いたら美味しくなった」
という場合もあるが、レシピを知っていれば再現しやすい。
伝え方も同じ。
コツを知っていれば、再現できる技術になる。
温泉旅行で卓球をするくらいなら、なんとなくラリーができる。
しかし、本気の卓球部と試合をしたら、
「なんとなく」では相手にならない。
言葉も同じである。
普段は何となく話していても、いざという場面では「伝える技術」が結果を左右する。
NOをYESに変える「思考の3ステップ」

では、実際にどうすればいいのか。
『伝え方が9割』で紹介されている考え方の一つが、
自分の頭の中にあるお願いを、そのまま相手にぶつけないこと。
そのための基本的な流れが、次の3ステップだ。
STEP1:思ったことをそのまま言わない
最初にやることは、意外とシンプル。
一度、止まる。
例えば、
「これやっておいて」
と思ったとする。
普通なら、そのまま口にする。
しかし、そこで一度考える。
「今の言い方で、本当に相手は動きたいと思うだろうか?」
自分にとっては必要なことでも、相手からすれば、
「それ、あなたの都合ですよね?」
となる可能性がある。
だからこそ、頭に浮かんだ言葉をそのまま口にしない。
まず一呼吸置く。
これだけでも、伝え方は変わる。
STEP2:相手の頭の中を考える
次に考えるのが、
「相手は何を求めているのか?」
ということ。
好きなものは何か。
何を嫌がるのか。
何に興味があるのか。
何なら喜んでくれるのか。
相手の立場になって考えてみる。
例えば、好きな人をデートに誘いたいとする。
自分の願いは、
「デートしたい」
である。
しかし、相手にとっては、
「あなたとデートすること」
が必ずしもメリットになるとは限らない。
そこで相手のことを考える。
「この人はイタリアンが好きだったな」
「パスタの店を探すのが好きだったな」
と分かったとする。
ここで初めて、次のステップに進む。
STEP3:自分の願いと相手のメリットを重ねる
最後に、
自分の願いと、相手が喜ぶことを組み合わせる。
例えば、
「デートしてください」
だけでは、自分の希望しか伝えていない。
そこで、
「代官山にすごく美味しいパスタのお店を見つけたんだけど、一緒に行かない?」
と伝えてみる。
自分の目的はデート。
相手にとっては、
「美味しいパスタを食べに行ける」
というメリットがある。
つまり、
自分の「してほしい」と、相手の「したい」を重ねている。
これが重要なポイントだ。
「お願い」を「相手にも嬉しい提案」に変える

この考え方は、恋愛だけではない。
例えば職場で、
「この資料、今日中に作ってください」
と頼む。
これでは、相手からすれば仕事が一つ増えただけだ。
そこで相手が得意な仕事なら、
「この部分、○○さんが一番詳しいと思うのでお願いしてもいいですか?」
と伝える。
もちろん、言い方を変えたからといって必ずOKしてもらえるわけではない。
しかし、
「あなたに押しつけたい」
という伝え方から、
「あなたの力を借りたい」
という伝え方に変わる。
同じお願いでも、受け取る側の印象は大きく違う。
「自分が何を言いたいか」だけでは足りない

コミュニケーションでありがちな失敗は、
「自分が伝えたいこと」ばかり考えてしまうことだ。
「私はこうしたい」
「私はこれが必要」
「私はこう思う」
もちろん、それ自体は悪くない。
しかし、相手にも相手の都合がある。
だから、
「自分は何をしてほしいか?」
だけではなく、
「相手にとって何が嬉しいのか?」
まで考える。
この視点を持つだけで、お願いの作り方は変わってくる。
今日からできることは「3秒待つ」だけ

いきなり会話の達人になる必要はない。
まずは、何かお願いしたくなったときに、
3秒だけ待ってみる。
「これやって」
と言う前に、
「相手にとってはどうだろう?」
と考える。
それだけでいい。
例えば、
「この仕事お願い」
と思ったら、
「相手は何が得意だろう?」
と考える。
「今度遊びたい」
と思ったら、
「相手は何が好きだろう?」
と考える。
「これ買ってほしい」
と思ったら、
「相手にどんなメリットがあるだろう?」
と考える。
たった数秒でも、自分の願いをそのまま投げるのではなく、相手の立場から言葉を作ることができる。
まとめ

『伝え方が9割』から学べる重要なポイントの一つは、
伝え方はセンスではなく、考え方で変えられる
ということだ。
相手から「Yes」を引き出したいなら、
- 頭に浮かんだ言葉をそのまま言わない
- 相手の頭の中を考える
- 自分の願いと相手のメリットを一致させる
この3ステップを意識してみよう。
「これをやってほしい」
という自分のお願いを、
「これなら相手も嬉しいかもしれない」
という形に変える。
それだけでも、言葉の伝わり方は変わってくる。
伝えることは、
自分の気持ちを一方的に押しつけることではない。
自分の願いと相手の気持ちが重なる場所を探すことなのかもしれない。
次回は、この3ステップをさらに具体的に使うために、相手から「Yes」を引き出しやすくする5つの切り口を、具体例とともに紹介する。
「お願いしても、なぜか断られる」
そんな人ほど、次回の内容は使えるはずだ。


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